恵那山南部 鯉子山(1590.3m)、阿岳(1501m) 2014年10月4日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 7:08 恵那山黒沢登山口−−7:26 作業道入口−−7:28 中津川−−8:08 作業道を離れる−−8:44 鯉子山−−9:27 1562m峰−−10:20 廃林道(休憩) 10:40−−10:54 沢を横断−−10:59 行き過ぎに気づき戻る−−11:02 廃林道分岐−−11:12 斜面に取り付く−−12:05 阿岳(休憩) 12:26−−12:57 廃林道−−13:23 1406m鞍部−−13:26 林道崩壊地−−13:46 ゲート−−14:06 恵那山黒沢登山口

場所岐阜県中津川市、恵那市
長野県下伊那郡平谷村
年月日2014年10月4日 日帰り
天候薄曇り
山行種類籔山
交通手段マイカー
駐車場恵那山黒沢登山口に駐車場あり
登山道の有無無し
籔の有無林業作業道、廃林道以外は笹藪
危険個所の有無地形的な危険個所は無いが、背の高い笹藪で視界ゼロなので下りの読図はハイレベルな技能が要求される
山頂の展望どちらの山頂も笹藪で展望なし
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメント残雪期でもよかったが林道の状況、花粉等を考慮して無雪期に挑戦。鯉子山北尾根を登って県境尾根を辿って廃林道に至り、廃林道から尾根の取り付いて阿岳を往復。鯉子山北尾根は作業道があり、道が無くなった後も笹が比較的薄く楽勝だった。鯉子山〜1406m鞍部(上手山峠)間の県境稜線は笹藪深し。これを往復したら阿岳を同じ日に登るのはきついと思う。上手山峠から南側は廃林道だが阿岳方面に分岐する廃林道までは人が歩ける程度の整備がされている。阿岳方面に分岐する廃林道は崩壊が酷く笹に埋もれ道形不明で途中から尾根を上がったが、標高1450mを越えてからはかなり笹がきつい。山頂を含む山頂付近の3ピーク付近は特に酷い。ここは北側から攻めた方が良かったかもしれない




恵那山黒沢登山口 駐車場。この登山口は他より利用者少ない
左の林道が中津川沿いの林道 本谷林道というらしい
作業道入口。目印無し 作業道入口
道は薄いがピンクリボンあり 中津川を渡る。水量少ない
廃林道 廃林道
沢沿いになると人が歩ける道幅に 堰堤下で沢を渡る
左岸の急斜面に道が続く 小尾根に乗る
尾根上は明瞭な道 西側の沢に下りる。道が薄い
小尾根に道が続く まだ道が続く
西側の沢に下りる 斜面を登る
西へトラバース たぶん恵那山
次の尾根で作業道は下へ 上には薄い道。ここを登る
急な登り。これでも昔刈り払った形跡あり 目印を残しながら進む
笹はそれほど濃くなく簡単にかき分けられる 植林帯が終わる
県境尾根。笹が深まる 鯉子山山頂。一面の笹藪
山頂標識 山頂標識
山頂標識? 三角点。笹に埋もれて探すのに苦労
1540m平坦尾根付近 境界標識
1540m峰西の肩 1530m鞍部
1562m峰 1540m峰の笹藪
1540m峰で南西に曲がる 1500m付近
1490m峰 籔の隙間から西側
1450m付近 1440m付近で植林帯へ。ここで県境尾根を外した
谷に出てしまった 谷を登る
廃林道。刈り払いしてある 廃林道は間個所も崩壊
林道が川になってる ここも林道。堰堤上を渡る
廃林道の支線も廃林道 崩壊して林道の形跡なし
林道が無くなったようなので斜面へ 尾根に乗る。薄い獣道あり
傾斜が緩むと笹が深まる 獣道
目印。笹が深いので見つからないかも 一番東の1490m峰
お隣の1490m峰へ 山頂へも深い笹藪
阿岳山頂 赤テープを残す
帰りは往路の軌跡を辿った 1430m付近で激籔区間終了
激籔区間を振り返る 往路の尾根を下る
尾根末端手前で左へ 廃林道
1406m鞍部(上手山峠) 1406m鞍部から鯉子山方向。道無し
1406m鞍部から焼山方向。作業道? 1406m鞍部の標識
林道崩壊地。黒沢駐車場からこの手前までは林道が生きている 林道は最近整備された形跡あり
山ブドウ。甘みは薄く酸味が強い 恵那山はガスの中
林道の距離標識 新ゲート。一般車はここまで
旧ゲート。新ゲートのすぐ近く テング小屋方面林道
舗装に変わる タダの籔にしか見えないが・・・
中津川を渡る橋 営林署の建物
黒沢登山口駐車場到着 黒沢登山口の小屋
注意書き 恵那山登山道案内図


 恵那山の南側、中津川を挟んだ反対側に東西に長い山脈があり、長野と岐阜の県境となっている。この上には鯉子山、阿岳、焼山などの1500mを越える山があるが登ったのは焼山だけ。無雪期ギリギリの12月に登ったら半端な積雪で深い笹藪漕ぎに苦労して山頂に到着した挙句に、南側から立派な刈り払いされた登山道が上がってきていてがっかりした経験がある。このときにあのエリアの笹の深さは実感しており、残雪期が有利なことも知っていたが、鯉子山や阿岳は地形図を見る限り林道から近く、無雪期なら林道のアプローチは車が使えるし藪漕ぎは我慢の範囲ではと考えた。

 ネットで調べると中津川沿いの林道は恵那山の黒沢登山口があって黒沢出合まで一般車で入れるとのこと。ただし、林道が崩れることが結構あって数年間入れなかったこともあるらしい。幸い、ネットで調べたら今年は9月から入れるようになったとのことでチャンスと思えた。黒沢出合まで入れれば林道歩きの距離は短い。この機会を生かさない手はないだろう。

 ネットで鯉子山を検索すると無雪期の記録は4年前の1件だけ。林道が県境を越える1406m鞍部から県境稜線を東へ往復したのではなく、北側の尾根を往復したとある。ここには途中まで作業道があって楽ができるとのこと。ただし道は途中で消えてその後は笹藪漕ぎだそうだが、それでも県境尾根を往復するより短距離なので利用価値は高そうだ。ただ、ルートがイマイチ不明確で作業道の入口が分かるかどうかが成否を握りそうだ。入口がある林道カーブの写真を脳裏に焼き付ける。

 久しぶりに中央道を山梨より西へ。途中、あまりの眠気に小黒川PAでダウン、2時間ほど仮眠してリスタート。中津川ICで降りてカーナビに従って南東へ。国道363号線からの分岐は黒沢登山口の案内があったのですぐに分かった。それ以降も要所で案内看板が登場、舗装された細い林道を東へと進む。やがて橋を渡って広場が登場、トイレや建物があっていかにも登山口っぽい。林道が左に分岐しているが、そこに登山口の標識があった。ここが黒沢口だ。車は皆無、恵那山の登山ルートとしてはマイナーなので当然だろう。適当に駐車してまた仮眠。

 朝になって起きると車が数台。意外にここから恵那山に登る登山者がいた。でも私は歩く方向が違う。朝飯を食ってパッキング。今日の天気は良好、雨の心配はなし。気温は高めの予報であり標高もそこそこなので防寒装備は長袖シャツにフリース、ゴアだ。前回の荒沢岳東尾根の経験で水は2リットル上げることにするが、途中で水汲み可能だろうから最初は500ccのみ。たぶんずっと日差しが無い林の中を進むだろうから麦藁帽子は置いていく。どうせ笹藪漕ぎが待っているし。

 バイクで来て隣に止めた登山者と少し立ち話をしてから林道の続きへ踏み入れる。すぐに林道が2分岐し、目的の中津川沿いの林道は左斜めに上がる方だ。本谷林道というらしい。ゲートでしっかりとガードされているが、路面には比較的新しいタイヤ痕。林業で入ることが頻繁にあるようだ。こちらはテクテク歩く。目的の作業道入口は標高約1290mで林道が左に分岐する付近と予想していたが、写真に出てきたカーブの光景が目に入ったのは標高1260m付近。予想と異なるが林道の曲がり方、カーブミラーの位置、作業道入口の位置は写真とぴたり同じ。おそらくこれで間違いないだろう。もっとも、間違っていたとしても山頂方向に接近する道ならば問題なし。

 かなり薄くなった作業道に入り、少しの間は平坦地を横断し中津川本流へ。ネットの記事では丸木橋があったが今は何もない。でも水量は少なく場所を選べば簡単渡れる程度だ。対岸に渡ってピンクリボンに従って少し上流側に歩くと廃林道が始まる。これはネットの記述と一致、どうやら記事のルートに乗ったようだ。

 笹に覆われた廃林道は右手の沢に沿って緩やかに上がっていき、そのうちに道幅が狭くなって自然に作業道に変わる。そのまま沢沿いに進んでいくと上流に砂防ダムが登場、ここで対岸の急斜面に踏跡と目印のピンクリボンがぶら下がっている。この先に水場があるか不明なのでここで1.5リットルを補給する。この沢は中津川よりさらに水量が少ないので渡渉に問題なし。

 急斜面を右から回り込むように上がって小尾根へ乗ると道がかなり明瞭になる。最近のものではないが笹は刈り払われている。これがどこまで続くのか分からないが、しばらくは楽させてもらえそうだ。地形図を見るとこの付近は分かりやすい明瞭な尾根は無く、何本かの谷、尾根とも南東方向を向いているので現在位置は把握不能だが、高いところに向かっているのでそのうちに県境稜線に出られるだろう。下りと違って登りは気楽だ。

 このまま尾根を上がりつづけるのかと思ったら右にトラバースして次の谷に下ろされた。ここも細いが水が流れていて本当の最終水場。谷の真中に小尾根があってそこに道が続いていたが、尾根に乗るまでの谷の中はかなり道は薄かった。目印が無ければ判別不能だっただろう。

 再び上りに変わるがすぐに右にトラバースし、小さな谷を越えて再び対岸の尾根を登る。しかし上方向への登りは長続きせず右へトラバース。これでは山頂に接近しているのか全く分からないが、とりあえず作業道が下り始めるまでは進んでみることにする。また小さな谷を越えて対岸の尾根を登ってトラバースだが、その次の尾根で作業道は尾根を下っていた。ここで道とは分かれて尾根を登ることにする。笹が繁茂しているが薄っすらと踏跡だか獣道があるので大げさな藪漕ぎは不要。尾根上は植林なので昔の作業道かもしれない。

 笹を分けながら登っていくと笹に埋もれたきれいな切り口の潅木があったりするので、この尾根上には以前は作業道が存在したようだ。しかし登るにつれて獣道は薄くなって笹に埋もれて消えてしまう。道は相当昔に使われなくなったのだろう。でも北向きの尾根のせいか、笹は細くしなやかで密度もそれほどではない。高さの1.5mくらいで前方の視界が確保できるので楽な部類だ。県境尾根もこのくらいならいいのだが。

 計画だとこのまま鯉子山に達したら県境尾根を西に向かって林道に出て、林道でいける阿岳の一番近いところまで林道歩きでアプローチしてから藪漕ぎし、帰りは林道を歩いて黒沢口へ戻る予定だ。ただし、鯉子山で県境稜線の藪が深いと判断したら標高差、距離とも無駄になるが往路を戻って中津川を渡って林道経由でアプローチしなおすことにしている。全ては県境尾根の藪の深さ次第だ。帰りはこの尾根を下山する可能性もあるので念のために紙テープを付けながら上がっていく。

 やがて植林が終わって自然林へ。紅葉が進みつつあるが周囲は笹に覆われて緑がいっぱいだ。笹藪のレベルはほとんど変わらず楽して漕げるままなのは大助かり。ネットの記事では激藪と書かれていたがそんなことはなかった。ただし相変わらずどこにいるのか現在地が不明のままだった。県境尾根に出てからGPSで確認すればいいか。

 やがて前方に顕著な尾根が横たわるのが見えた。あれが県境尾根に間違いないだろう。尾根に飛び出すと笹が今までより深くなったがまだ許容範囲内。尾根上には明瞭な踏跡、目印は無いが僅かながら獣道があるようだ。

 GPSの表示を確認すると鯉子山は西へ100mほど。かなり山頂に近い位置、山頂東側の1580m肩で県境に出たのはラッキーだった。両手で笹を分けて緩やかに登ると鯉子山山頂到着。広い山頂だがここも一面の笹原に覆われていた。山頂標識が2つあったがいずれも3mくらいの高さに取り付けられていたので残雪期のものに違いない。目の高さにはカラフルな目印があったがこれは無雪期のものだろう。次は三角点捜索。一面は笹藪で開けた場所は皆無で、笹を手で掻き分けながら探すしかない。しかし捜索開始から1分程度で苔むした三角点を無事発見。笹に埋もれていて目印は無かった。

 これで第1目標到達。まだ時間的、体力的に問題はないので休憩無しで県境尾根を西に進むことにする。さて、藪の深さはどんなものか。林道まで約2kmほど。先日の荒沢岳東尾根の本城山より近いし、恐怖の根曲がり潅木藪は存在しないはずだ。

 広い尾根を西へ。北向きの尾根より笹は深いがもがくような激藪まではいかない。ただし踏跡も皆無。おまけに基本的に下りなのでルートファインディングの難易度が上がる。首には方位磁石をぶら下げて頻繁に地形図を見ながら進行方向を確認する。1562m峰までほぼ西にまっすぐだが微妙に曲がる個所があり、地形図と比較しながら尾根を外さないよう有視界飛行で進んでいく。

 どうも県境尾根は西に行くほど笹が深くなるようで、たまに絡み合って掻き分けるのが大変な場所が登場するようになる。笹の太さは根曲がり竹より細いので両手で掻き分けられるが、問題は笹が横に寝ている場合。これは掻き分けるのに力が必要で通過するのが厄介だ。できるだけ笹が立った場所を選ぶのが良い。

 1540m峰で尾根は南西に屈曲するが、このピークも身の丈の笹が深く樹林で覆われて周囲の地形が把握しにくい場所。おまけにピークはなだらかで尾根が不明瞭、方位磁石で方向を決めて笹の中を掻き分けて進むしかない。少し進むと尾根らしくなって正しいルートだと分かるようになる。

 このまま直進しすぎると尾根を外してしまうので高度計の表示に注意しながら笹を掻き分け、1500m付近で右に曲がる。ここはどうにか視界が得られて先に太い尾根が見えるので簡単に分かって助かった。しかし相変わらず笹が濃い。

 次の1490m峰は南北に長くのっぺりした地形で、笹を分けて登ったのはいいが尾根直上がどこなのか把握が困難だった。地形図を見ると北寄りから西に尾根が派生するので北側ピークへとトラバースするがこれまた笹が濃くて苦労する。少しでも尾根直上を外すととんでもない藪漕ぎだ。これでも栃木県北の根曲がり竹よりはマシだが、足だけでなく腕の体力も搾り取られるイヤな場所だった。

 どうにか県境尾根に乗りなおして方位磁石を見ながら西へ下る。下りは重力の助けがあるので笹藪漕ぎも少しは楽だ。もうすぐ林道というところで油断して左の植林尾根に引き込まれてしまい、小さな沢に下りて林道かと思ったら何もなし。北側に斜面があるので鞍部より南側に下ったことが分かった。細い水が流れる沢から西に分岐するさらに細い沢に入って斜面を登ると林道に飛び出した。

 事前予測ではこの林道はまだ現役だと考えていたが実際は廃林道。ただし一度繁茂した笹をきれいに刈り払ってあり、廃林道化して車は通れないが人の往来はあるようだ。ここまで休憩していないので大休止。大いに水を飲む。やっぱり藪漕ぎは喉が渇く。おまけに笹藪の埃で喉がいがらっぽい。もう少し涼しければ藪漕ぎにちょうどいいが、そこそこ汗をかかされた。ここは1406m鞍部より少し南に寄った場所だったが、鞍部には鯉子山側に倒れた小屋があり尾根には踏跡皆無で濃い笹藪、反対側の焼山側の県境尾根上には刈り払われた道の入口があったが、おそらく林業作業道で焼山山頂までは達していないだろう。

 この先の林道は斜面をトラバースするように付いているので水が得られると判断、1リットルのペットボトルはデポして500ccだけ持って出発。しばらくはこのまま廃林道を進み、林道支線に乗って終点まで歩いてから斜面に取り付く予定だ。林道終点までは藪漕ぎはないだろう・・・たぶん。

 廃林道は刈り払いはされているが崩壊した個所は補修されずそのままで、僅かに残った路肩をへつる場所もあった。林道の上が川になっていたりと変化があって単調な歩きでないのはいいが、歩きやすいとは言えない。1箇所だけ水が流れる堰堤上を通過する個所があり、林道もそこを通っていたようだ。今の水量だと靴が水没意するほどの深さではないのでバシャバシャと渡渉できるが、雨が降って水嵩が増えると通過できないかもしれない。

 この沢の右岸側が目的の林道支線だったのだが、完全に笹に埋もれてぱっと見た目は廃林道っぽくなかったので気づかず通過。林道の刈り払いもこの沢まででその先は整備された様子がなかった。林道が登りに変わっておかしいと気づき、地形図を見て行き過ぎに気付いた。堰堤上の流れを突っ切った沢が目印となる。

 逆戻りして笹に埋もれた廃林道を発見。ここは刈り払いはなし。支線だから当然か。それでもまっさらな笹藪よりはマシだ。廃林道は沢よりもかなり高い右岸側に付けられているが、進むと崩壊が激しくなって道形が消えてしまう。斜面をトラバースするように獣道らしき筋が続いているが林道がその先にも続くように見えなかったため、ザレた斜面を斜め上に向かう獣道に乗って尾根を目指すことにした。

 ザレを登ると笹と植林の斜面に変わり、ここを上がることにした。一応手入れはされているようで間伐した木が地面に放置状態で、これを跨ぎ越えるのに体力を使う。足を高く上げる作業は疲れるのだった。ただしこの斜面は笹は薄いので藪漕ぎと表現するほどではない。

 すぐに明瞭な小尾根に乗ると笹の中に薄っすらと獣道ありで助かる。このまま尾根を上に詰めていけば山頂に出るだろう。林道は斜面をトラバースするように付いていたので今いる尾根がどこなのかわからないのは鯉子山と同じ状況。登りはいいが下りが面倒だ。ここは往路を戻る予定なので目印を付けながら登った。最終手段としてGPSの軌跡を逆戻りする手もあるので、目印の数は少々手抜きだ。

 標高1380m付近で尾根が左に曲がるが、ここは笹が消えて開けた場所が登場、しかしその先は背丈を越える笹の密藪でここからが藪漕ぎ本番らしい。薄そうなところがないので正面から突入、藪の境界付近が一番日当たりがいいようで藪も一番手ごわかった。

 背丈を越える笹で先の様子が広範囲には見えないが尾根を辿るのに困らない程度は見通せた。藪のレベルは県境尾根の一番深いところよりはマシで両手で平泳ぎで進んでいく。登りでは気付かなかったが1460m肩で右に自然に曲がったが、帰りは直進しそうになりGPSで軌道修正した。

 この先はある程度まとまった範囲で笹に目印がつけられていたが、これは笹に潜らないと見えない高さに付いていて、目印としてはあまり有効とは思えなかった。でも立ち木がない笹の海だからしょうがないか。目印よりも微かな獣道を拾えるかどうかで労力がずいぶんと変わってくる。獣道は偉大だ。なお、目印に気付いたのはこの付近のみだった。

 阿岳山頂付近は3つのピークがあるが、私が最初に到着したのは一番東の1490m峰。ここへ来て一段と笹が深くなって鯉子山の県境尾根の笹が一番深いところと同レベル。GPSの距離を見ると山頂まで200m強だが目的地は直進方向ではなくやや右手。尾根は時計回りに周回しており、この笹の濃さでこれを進むのは気が滅入るが仕方ない。次の1490m峰はなだらかなのでてっぺんを通らずに北側を掠めて肩を通過、右に進路を振る。この付近が一番笹が濃いし尾根が広くて進路が難しい。

 最後の登りは大した距離でも高度差でもないが笹の濃さが相変わらずで、100m進むのに10分もかかっていた。山頂直下でやっと笹が薄くなり(今までと比較して薄いというだけで絶対レベルでは濃い笹藪)、少しスピードアップして阿岳山頂に到着。

 背の高い笹藪だが基本的に檜植林帯らしい。ただしほぼ放置プレイらしくダケカンバ等の自然林が侵食している。ここにも山頂標識があり、鯉子山の2つあった標識の片方と同じ作りで3mくらいの高い位置。ここも残雪期に訪問したのだろう。標識はこの1個だけであとは目印の布。ここには赤テープを残した。かなりお疲れなので笹藪の中で休憩。

 下山はあの笹藪を長い距離漕ぐのはいやなので往路と違って北側に下ろうかとも思ったが、尾根の様子が不明だしこの笹の深さでは展望皆無で尾根を正しく追える自信もないので往路を戻ることにした。ただし山頂付近の3ピーク近辺は尾根を歩くわけでもなく目印も付けていないのでGPSだけが頼り。GPSが表示する軌跡を逆戻りだ。ちなみに私のGPSは地図は表示できないので、まっさらな背景上に破線が描かれるだけ。でもその破線に乗るように歩けば往路をトレースできるので、地図が出なくても問題なし。

 東端の1490m峰までは大した下りがないので往路と同様に笹と格闘となる。ピークを過ぎれば尾根の下りになるし笹もいくぶんおとなしくなってペースが上がるが、尾根がまっすぐではないので間違いやすい。1460m肩で左に曲がるところで直進しGPSの軌跡とズレて気付き針路変更した。

 この先は間違うことなく尾根を下り激藪地帯を抜けていったん開けた肩へ。この先の笹はそれほど濃くないので助かる。植林の尾根を下り、往路で尾根に上がった場所を通過してなおも下るが、尾根末端は急激に高度を落として最後は右側の谷に落ちていくのが見えたので左斜面を適当に下ることにする。この斜面のどこかに往路で通った獣道か林道跡があるはずで、僅かに下って獣道発見。トラバースして廃林道に乗れた。

 あとはひたすら黒沢登山口まで廃林道歩き。1406m鞍部で1リットルのペットボトルをデポしたものを回収、そのまま下りにかかる。大きな林道崩壊地を過ぎると廃林道ではなく生きた林道の雰囲気が。最近重機で落石をどかしたり路面を整備した形跡が見られた。もしかしたらここまで車で入れるのかと思ったが途中でゲートがあって一般車は崩壊地までは入れないようになっていた。残念。

 林道歩きの途中で道端に野生のブドウを発見。これは葉ですぐわかる。栽培品種と違って粒は小さく酸味が強くて甘味は少ない。2粒ほどいただいた。ブドウは蔓植物なので手の届く範囲で実がなっているのは珍しいことだろう。

 ゲートを越えるとすぐ近くに開放された古いゲート。その先は工事中の林道。テング小屋という小屋があるようだがそこへの取付道路らしい。営林署の小屋かな? この先で道路は舗装に変わって中津川を渡る橋を通過、営林署の小屋を横に見て駐車場に到着した。朝方あった車は1台を残していなくなっていて、その後にやってきた車が何台も止まっていた。お隣のバイクはまだあった。


まとめ

 無雪期に鯉子山だけに登るなら北尾根を利用する方が藪が薄いし藪の距離も短いのでお勧め。県境尾根を攻める場合、峠の近くが一番笹が深くて最初にめげてしまうだろう。阿岳は鯉子山の経験から考えると北側の尾根から攻めた方が藪が薄いと思われる。今回のルートだと余分なピークを超える必要があり、その区間が最も笹が深くて苦労した。

 

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